咬筋萎縮(TCR)|治療法の詳細
咬筋委縮術(TCR)とは、口腔内を数ミリ切開し細い金属の棒を筋肉の中に刺し込み電流を流して、張り出している咬筋を萎縮させることで正面から見た顔を細くします。
骨ではなく筋肉が発達していて、エラが張っているように見える方におすすめです。
【麻酔方法】
全身麻酔
咬筋萎縮(TCR)|ダウンタイム・術後経過
【ダウンタイム】
個人差があります。
■ 腫(は)れ
約1~3 週間(3 日目くらいが腫れのピーク)
内出血や感染症になった場合、腫れが長引くこともあります。
■ 内出血
手術操作によって細かい血管が傷つくと、皮膚の下で出血し,目元から頬にかけて紫色になりますが、1~3週間で消失します。
■ 抜 糸
口の中の抜糸を2 週間目にします。
■ 洗顔・シャワー浴
手術当日から濡らしてかまいません。
■ メイク
手術当日から可能です。
■ 歯磨き
手術当日から可能です。傷に直接当たらないように注意して下さい。
■ 食 事
約1~2 週間は熱いもの、辛いもの、堅いものは控えて下さい。
噛むことが困難な場合は、3~4 日間固形物は控えて下さい。
2週間はお渡しするイソジンで食後にうがいをして下さい。
■ 通 院
術後1週間目・術後2週間目
■ 完 成
約6 ヶ月
【ダウンタイム後の経過】
1. むくみ
3ヶ月~6ヶ月
2. 傷の経過
傷は口腔内のため、外観からはわかりません。術後3ヶ月は傷が硬くなりますが徐々に硬さは改善されます。
咬筋萎縮(TCR)|術後に起こりうるトラブル・対応
【喫煙について】
喫煙は血液の循環を悪くする為、傷の治りが悪くなります。細菌がついて感染を引き起こす原因にもなります。
術前2 週間前~術後最低1 ヶ月は禁煙をお願い致します。
手術後4 ヶ月は腫れや炎症が残っているため、傷が酷く残りやすく、また癒着『ゆちゃく』が強く変形が起きやすいため、原則として再手術には適さない時期です。腫れや炎症が治まる4 ヶ月以降に判断し、調整を行わせていただくことをご了承下さい。
咬筋萎縮(TCR)|トラブル一覧
A) 感染(化膿する)
B) 血が溜まる
C) たるみ・皮膚の余り
D) エラが小さくなりすぎたと感じる
E) エラの縮小効果が足りないと感じる
F) 左右差
G) 口を大きく開けられない
H) 口唇の火傷、すり傷、色素沈着
I) 顔面神経麻痺
A) 感染(化膿(かのう)すること)
A-1トラブルの内容
手術後、熱感・痛み・腫れが増す、あるいは長引く場合は感染が疑われます。
A-2 対応
感染が起きた場合は、内服薬服用や抗生剤投与、洗浄をします。また、感染がひどいケースでは口腔内やエラの皮膚を切開して膿を出す必要があります。
B) 血が溜(た)まる
B-1トラブルの内容
術後に傷の中で出血して血が溜まるとエラや首や頬が紫色に腫れ上がります。血が溜まったままにすると化膿したりしこりを作ったりするので早目の処置が必要です。
B-2 対応
口腔内を切開し、溜まった血を排出する処置をします。
C) たるみ・皮膚の余り
C-1トラブルの内容
小さくなった咬筋に合わせて皮膚は縮まっていきます。皮膚がたれるようなことは稀(まれ)ですが、張り出した咬筋がなくなることで、たるみのあるような輪郭(りんかく)に見えることがあります。
C-2 対応
輪郭(りんかく)をすっきりした印象にするには頬部フェイスリフト、頬部・頸部フェイスリフト、シルエットリフトの手術が効果的です。
D) エラが小さくなりすぎたと感じる
D-1トラブルの内容
エラが思ったより小さくなりすぎてしまったと感じる場合があります。TCR によって咬筋がどの程度小さくなるのかは結果が出るまでわかりません。思ったより筋肉が小さくなることがあります。
D-2 対応
エラが思ったより小さくなりすぎてしまったと感じる場合は、小さくなりすぎたエラの部分にヒアルロン酸や脂肪注入、エラプロテーゼ挿入などの方法を用いて調整します。
E) エラの縮小効果が足りないと感じる
E-1トラブルの内容
エラの縮小効果が足りないと感じることがあります。施術後、半年はむくみのため縮小効果が実感できないことがあります。TCR によって咬筋がどの程度小さくなるのかは結果が出るまでわかりません。思ったより筋肉の委縮が少ないことがあります。
E-2 対応
① エラの縮小効果が足りないと感じる場合は、再手術(TCR)をします。但し、TCRで縮小できる筋肉の量には限界があります。
その他の方法として、残った筋肉に対してボトックス注射、あるいは筋肉を直接切除する咬筋切除術が効果的です。
② 切除できる咬筋が残っていない場合は、エラ削りの手術を追加することでさらに縮小効果が得られます。
F) 左右差
F-1トラブルの内容
TCR によって咬筋がどの程度小さくなるのかは結果が出るまでわかりません。手術後、左右差が出る場合があります。
F-2 対応
明らかな左右差が出た場合は、大きく残っている方に対して再度TCRを行う、又はボトックス注射、あるいは咬筋切除をして修正します。
但し、完全に左右対称にならないことがあることを御了承下さい。
G) 口を大きく開けられない
G-1トラブルの内容
手術後、咬筋の痛みやひきつれのために開口が困難になります。開口訓練を行わないと開口障害になる可能性があります。
G-2 対応
開口訓練を行わないと開口障害になる可能性がありますので指導に従って自宅でも開口訓練を行ってください。
H) 口唇の火傷、すり傷、色素沈着
H-1トラブルの内容
手術中、口を大きく開ける器具を使用するため、口唇の火傷、すり傷、色素沈着が起こることがあります。
H-2 対応
ほとんどの場合、自然に回復します。
色素を薄くするハイドロキノンクリームや肌のターンオーバーを早め、新たな皮膚を再生させるトレチノイン+ハイドロキノンクリームを必要に応じて処方致します。
I) 顔面神経麻痺
I-1トラブルの内容
TCR では筋肉の中に流れた電流が筋肉を焼いて萎縮させます。その時発生した熱や電流が、咬筋の隣にある顔面神経に作用して、神経を麻痺させる可能性があります。そのため、顔の表情筋に麻痺が起きる可能性があります。
I-2 対応
通常1~3 ヶ月程で回復してきますが、完全に麻痺が回復しないこともあります。